逢坂峠の東側のふもと坂尻の谷のそばに王子跡がある。いまは杉林の中である。明治以降峠の坂道が少し変わったため、峠からは多少回り道になった。王子跡には石造の笠塔婆がみられる。後鳥羽院御幸記に、大坂本王子に参るとある。逢坂峠は古くは大坂といわれ、為房喞の永保元年(1081)の参詣記では、深夜大坂の草庵で猿の鳴き声を聞いている。